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2010年11月 7日 (日曜日)

5ヶ月も・・・

・・・かかってしまった。・・・
 
 
 

53.これからの「正義」の話をしようーーいまを生き延びるための哲学 マイケル・サンデル

流行の本は読まない質なのだが、NHKでやってた講義が結構おもしろかった(でも第1回しか見なかったけど)こともあり、本屋の平積みにうっかり手を出してしまった。
 
この本は「講義録」ではない。しかし、講義一覧をみると、この本の内容を忠実にトレースしているようだ。

著者は、新聞記事・裁判の判例・書籍等から拾った豊富な「紛争/ジレンマ」の事例を引き合いに、それらの「紛争」に対する関係者の判断、つまり彼らが考えた「なにが正しいのか」=正義(justice)の基準は何だったのかを抽出してみせる。

そして、抽出された正しさの基準の考え方を大きく3つに集約する。ベンサムが提唱した「功利主義」、カントの思想が求める「自由」、そしてアリストテレスの政治哲学である目的論的「善」だ。

で、著者が考える現代社会にとって適切な(といったらいいのかなぁ)正義の基準は、もうひとひねりが必要なのだが、コミュニティの中に生まれる「共感」も考慮しながら、「功利主義」や単なる「自由」ではなく、「善」を追求していくことである、と読んだ。
 

学生時代、経済政策ゼミの共同論文を書く際、論文の根底をなす「価値基準」を定める作業があり、仲間と討論を繰り返した記憶が思い出された。「効率」や「公正」についての立場を定める作業だったのだが、この本で出てくる種々の思想を操作したりしていて、うちら結構深淵なところに首をつっこんでいたのだなあ、と思いつつ、でも上っ面しか撫でられてなくて、やっぱり学生のレベルだったのねん、とも感じ、面映い気持ちになったね。

読者は読み進めるうちに、経済学の原点、「効用」の概念の基礎である功利主義、ジョン・スチュワート・ミル、カントからジョン・ロールズ、古代ギリシャのアリストテレスまで勉強することになる。でも、アリストテレスの目的論を解説するために登場するのは「くまのプーさん」だっりするのだ。(読みはじめの頃、娘が目次に「プーさん」があるのを目ざとくみつけ、以降ことあるごとに「もうくまのプーさん、出て来た?」と待ちどうしそうに訊かれるのには閉口した。)
分量はあるが、例示の事象の選択もよいのか、論旨は非常にわかりやすい。

さて、この本、実生活にどう役立てたらよいのか・・・・。
なにか選択に迷ったときの基準作りに一役買うかもしれないなぁ。 
 

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